inswatch Vol.231(2005.01.03)

=====for agents of insurance================================weekly=====

【 inswatch 】Vol.231

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「明けましておめでとうございます。本年は一段と現場にこだわり、新鮮活刺激
的な紙面づくりにまい進します。また読者の皆様に素晴らしく実り多い年になる
ように祈念します。変わらぬご愛読よろしくお願いします」(編集人)

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■■■ もくじ ■■■
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【0】め・て・みみ
=リーダーシップと現場力問われる年=
【1】代理店の座標軸                    佐喜本 敦子
=「楽」な一年でありたい・・・=
【2】CSと経営品質(8)                   望月 広愛
=良い挙積、結果をもたらすプロセスとはなにか=
【3】ビューポイント「石さんの保険業界、単眼、複眼」
=金融改革プログラムと保険業界=
【4】証券仲介業と保険代理店                 石脇 俊司
=証券仲介業は代理店の武器となるか=
【5】損保各社の代理店チャネル戦略(5)           中崎 章夫
=ブロンズ(1億)ランクプロ800店体制目指す
中核代理店を中心に生損保販売力ナンバーワン目指す日本興亜損保=
【6】編集人会議「いし・なか井戸端問答」
=2005年の保険業界の見どころ(上)=
■ 編集後記

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【0】め・て・みみ
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リーダーシップと現場力問われる年

2005年がスタートした。保険流通の世界においても、時代の大きな流れを
感じる。日本は人口減少というかつて経験したことのない局面を迎える。こうし
た時代のマーケティングはどのように変化するのか。顧客満足争奪戦は一段と熾
烈化する。リーダーの経営スタンスも厳しく問われる。組織内と社会に発信する
メッセージに首尾一貫差が求められる。

2004年を振り返ってもブランド力のあるいくつかの大企業の信用が失墜し
た。企業倫理観の欠如が鋭く問われた。「社会の公器」としての意識のなさが鮮
明になった。
トップのリーダーシップ、スタンスは良くも悪くも現場第一線に伝わる。トッ
プの自信のなさ、曖昧さは現場は敏感に受け止める。

保険会社の取材、代理店等の取材を通じて感じるのは、夢、ロマンとそれを実
現しようとする理念の共有が現場にどこまでいきわたっているかは、挨拶などの
基本動作に如実に現れるということだ。

トップが考えていることが現場でどこまできちんと具体的に実現されているか、
またどこまで楽しく感動的に実現されているか、そして顧客の喜びを共有できる
よう、リーダーシップと現場力が融合したビジネスを本年は実現してほしいもの
だ。
(中崎 章夫)

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【1】代理店の座標軸                    佐喜本 敦子
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「楽」な一年でありたい・・・

2004年は「災」の年でした。保険業界も大きな痛手を受けましたし、私達
代理店にとっても激動の一年であったと思います。今年も激動の一年である事は
間違いありませんが、気分は「楽」で行こうと思います。

「楽」と言いましても、仕事で楽をするという意味ではありません。「楽しく
仕事をする」ということです。個人情報保護法も成立いたし、近年、コンプライ
アンスの問題も含め、仕事が「窮屈な感じ」を受けております。こんな時は、つ
いつい守りの態勢が長期化しやすくなり、挑戦の意欲が萎えてきます。

しかし、今まで地道に顧客情報の収集に努め、お客様本位で保険提案をされて
きた代理店ならば、チャンス到来、これまでの情報を多いに活用し、楽しく保険
提案をされては如何でしょうか?

画一的な商品を投網方式で取る代理店とは違い、お客様十人十色の保険提案を
考案する楽しさを味わう事が我々代理店の栄養となるのではないでしょうか?
たとえ残念な事に、その提案が即採用されなかったとしても、丹念に作成し提
案されていれば、他の代理店や金融機関からの勧誘があっても、必ず声が掛かる
と思います。

さて、管理者は部下が楽しく仕事ができるような、環境作りが必要ですが、自
分の想いを優先する管理者には困難な作業となります。自分の事は後回しにして
でも、部下の環境を如何に良くするかが、決め手となるのです。

情報の活用方法、正しい助言、良き思いの伝達等々、限りがありません。しか
し、この積み重ねが会社を強くします。容易く実現した大きな成果は、容易く壊
れ、地道に一つずつ積み上げた成果は強靭です。そして、その強靭な成果があれ
ば、「楽」な仕事が可能となります。

この一年、楽しく仕事にチャレンジし、近い未来に「楽」な仕事を多くしたも
のです。そのことが、お客様の安全と安心に繋がり、保険会社への貢献、社会へ
の貢献と繋がり、我々の仕事の本質を「幸福」という完結へ向かわせられるでし
ょう。

今日のような暗澹とした世の中だからこそ、「笑顔」「明声」でお客様に対応
することが今一番求められているのです。今年も一年、スタートを是非「笑顔」
で飾って下さい。
((株)ボアーズ取締役顧客マネージャー)
http://www.boaz.co.jp

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【2】CSと経営品質(8)                   望月 広愛
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良い挙積、結果をもたらすプロセスとはなにか

経営品質を図る上で重要なプロセスのクォリティは7つの要素で説明されます。

1番目と2番目の要素は組織の方向性と推進力についてです。車に例えるとハ
ンドルとエンジンに相当するものです。
私は、最近ますますこれら2つの要素の重要性が増しているように思います。
これは私自身も、経営品質のフィロソフィーに基づいて会社の経営を実践してみ
て初めて分かってきたことです。車も、ハンドルの切り方を間違えると、ボディ
がいくらピカピカに磨かれ、エンジンが躍動的に動いていても、崖下に落ちてし
まいます。
したがって正しい方向に組織全体のエネルギーが集約できるように会社の理念
やビジョンを従業員全員、もっと言えばお客様にも徹底させる仕組みができてい
るかどうかが大変重要です。

また、コンプライアンスだけでなく、より積極的に社会的責任を果たすことが
できるようなプロセスがあるかどうかも、企業経営の左右おおきな要素となって
きています。これは米国国家経営品質賞を二度も受賞しているリッツ・カールト
ンホテルの経営を知ればまさしくそうだとわかります。

3番目の要素は、お客様のことを知り尽くす、理解するという重要なプロセス。
4番目は戦略が策定される仕組み、5番目は働いている人たちがよりがんばろう
という気持ちを引き出す仕組み、6番目はみなさんお得意の、商品・サービスの
企画提案・販売をもっと効率化しようという要素です。

3番目の「顧客満足を向上させる仕組み」に関する要素も重要ですが、同様に、
組織全体のクォリティを支えている重要な要素が、7番目の「情報の共有化」、
コミュニケーションのプロセスです。
(株式会社J・アート・レストランシステムズ代表取締役社長)
http://www.yebisuya.co.jp/com/index.html
*訂正 前号(230号)本欄で「三井海上」とあるのは「三井住友海上」の誤
りでした。お詫びし訂正します。(編集人)

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【3】ビューポイント「石さんの保険業界、単眼、複眼」
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金融改革プログラムと保険業界

◇金融コングロマリット実現へ規制緩和と法的整備
金融庁は年末(12月24日)に「金融改革プログラム~金融サービス立国へ
の挑戦~」として新たな金融改革の指針をまとめ発表した。プログラムは、金融
行政のスタンスをこれまでの不良債権問題の緊急対応(金融再生プログラム)と
いうことから「金融システムの活力重視」へと転換を図ろうというものだ。

具体的には、銀行・証券・生損保など金融システム全体について新規参入(異
業種やe-バンキング等)を含め、規制緩和の方向を打ち出す一方、「いつでも、
どこでも、誰でも、適正な価格で良質で多様な金融商品・サービスの選択肢にア
クセスできる金融システム」の確立という、いわゆるワンストップショッピング
の実現と金融コングロマリットを目指すもので、そのための法的整備の方向を明
確としたことが特徴といえる。また、金融庁はこうした方向の実現によって、国
民の選択が「貯蓄から投資へ」と向かい、マネーフローの構造改革が推進され、
経済活性化が進むことが期待されている。

◇加速する保険業界の規制緩和と制度改革
ところで、金融システムの一翼である保険についてもプログラムの中で取上げ
られている。その内容は、サービス提供へ向けた制度問題では、(1)金融商品・
サービスの販売チャネルの拡大、保険商品の多様化と価格弾力化の推進、公正な
競争を促す適正な比較広告の容認。保険取引ルールの整備では、(2)根拠法の
ない共済の契約者保護ルールの導入、保険契約における適合性原則の遵守、保険
広告表示のモニタリングの強化、保険契約者保護制度の見直し。保険会社のリス
ク管理の高度化として(3)ソルベンシー・マージン比率の見直し、新しい保険
商品に係わる責任準備金積立てルールや事後検証等、財務関連ルールの枠組み―
の各点が上げられている。

各項目とも、昨年来、金融審議会・第二部会等で審議されてきた問題であり、
(1)は、昨年3月に「銀行等による保険販売規制の見直しについて」の金融審
報告がまとめられ、銀行の保険販売拡大の方向が打ち出された。また、(2)に
ついては「無認可共済への対応」として、保険会社への移行を含む規制の内容に
ついて報告されたほか、(3)については、変額年金保険の責任準備金積み立て
ルールが決まり、今年4月からの契約について新たな積み立て基準が施行される
ことになっている。また、今回のプログラムでは、TVや新聞広告等での適正な
比較広告の容認やソルベンシー・マージン比率の見直しなど新たな問題も提起さ
れているのが注目される。

◇金融行政の変化への対応が今年の課題に
今回の「金融改革プログラム」は2年間を重点強化期間として法的な整備を図
ることとなっており、3月末までに具体的な実施へのスケジュールである「工程
表」を作成・公表することになっているが、特に銀行の保険窓販全面解禁は、同
プログラムにより、段階的実施を含めツメが加速されるものと見られる。また、
責任準備金の積立てでも、変額年金保険に続き、今後、第3分野商品―「医療保
険」―についても積立ての義務付けが検討されよう。さらに、昨年損保のセーフ
ティーネット問題が結論を得たが、あらためて生保の契約者保護機構の政府保証
の存続を巡る問題も論議されることになる。

いずれにせよ、金融コングロマリットを急速に推進する金融行政転換の流れの
中で、販売チャネル問題も含め、保険業界の対応と取り組みが試される1年とな
りそうだ。
(石井 秀樹)

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【4】証券仲介業と保険代理店                 石脇 俊司
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証券仲介業は代理店の武器となるか

◇検討急増する保険代理店
平成16年4月よりスタートした『証券仲介業』について取り組みを検討して
いる保険代理店の方々が多いと思う。将来の経営や顧客ニーズを考え、「果たし
て自分がこのビジネスを取り組むべきか否か?」と思案する代理店から毎日多く
の質問が当部によせられている。とくに制度施行当初、証券仲介業務に参入でき
なかった銀行が昨年6月の証券取引法の改正で12月1日より業務を開始したこ
とで、いよいよ具体的にそして真剣に取り組みを検討する保険代理店が増えてき
ているようである。
金融ビジネスの大競争時代に突入した今、この証券仲介業が顧客ニーズを満た
すために必須なのか?
制度の概要について簡単にまとめることで、すでに参入を検討されている方、
まだ知らなかった代理店の方々に情報の提供をさせていただく。

◇証券仲介業制度の概要
(1)参入可能者(業者)
証券仲介業をビジネスとして取り組む場合まず必要なのが証券会社との業務委
託契約。この契約を締結後、内閣総理大臣に登録申請を行い(各地域の財務局を
窓口として)、外務員資格保有者を日本証券業協会に登録する。外務員資格は証
券外務員二種試験に合格していることが必要で、登録を予定している業者内に資
格保有者がいない場合は事前に受験して資格を取得することが必要。金融機関以
外(銀行・保険会社)で一定の欠格要件(破産して復権をしていないなど)に該
当していなければ個人・法人の区別なく登録は可能である。

(2)ビジネスとして取り組めること
証券仲介業者は所属証券会社の取り扱う金融商品(投資信託、債券、株式等)
の取引を顧客に勧誘することや顧客から取引の申込みを受けその内容を所属証券
会社に伝達(媒介)する業務を行うことができる。
実際の営業現場に即したかたちで言えば、保険の既顧客に対して資産運用コン
サルティングやアドバイスを行い、仲介により証券会社と顧客の間に金融商品の
取引が成立すれば、その仲介業務に対して報酬が得られるということである。

(3)証券仲介業者ができないこと
保険代理店と大きく違う点がここにあるのでご注意いただきたい。
証券仲介業者には代理権がないため証券会社の代わりに顧客と契約を締結する
ことができない。あくまでも売買の仲介行為をするだけである。また、顧客から
金銭、有価証券を預かることもできない。金銭、有価証券の受渡は所属証券会社
が顧客との間で行う。
損保代理店のように代理権があり、領収書を持参して顧客を訪問することはな
い。

(4)乗り合い
証券取引法上は乗り合いが可能。ただし、業務委託契約を締結する複数の証券
会社と事前に顧客の損失補填に関する契約書を仲介業者と証券会社で締結する必
要があり、乗り合いがスムーズに進まないこともある。ここでいう損失補填とは
顧客が購入した金融商品の値下がりを補填するという意味ではない。業務上のミ
ス等により発生した損失を所属証券会社が顧客に対して賠償しなければならない。
当社はアイ・エヌ・ジー生命と証券仲介業務において協力をしており、現在約
50の仲介業者が乗り合い登録を前提に当社との業務委託契約を済ませている。

◇保険代理店の登録状況
12月現在、当社と契約を締結し登録済の証券仲介業者は約140業者。その
うち約45%を保険代理店が占める。北海道から沖縄まで各地に当社契約の証券
仲介業者が既にビジネスを実践している。また、登録申請中、外務員試験の受験
中の業者も合わせると300業者を超えてきている。
外貨建て年金や変額個人年金保険と取り扱い保険商品が増え、顧客ニーズが多
様化する今、コンサルティング力の充実を考え証券仲介業登録を進めた保険代理
店が多い。証券仲介業に取り組んだことで今まで把握していなかった顧客の保険
ニーズがより明らかになり、金融商品よりもむしろ保険契約高の増加を証券仲介
業の成果として挙げる保険代理店も多いようである。
(日興コーディアル証券 IFAビジネス部)
制度の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
http://www.nikko.co.jp/SEC/ifa/

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【5】損保各社の代理店チャネル戦略(5)           中崎 章夫
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ブロンズ(1億)ランクプロ800店体制目指す
中核代理店を中心に生損保販売力ナンバーワン目指す日本興亜損保

日本興亜損保では、プロ代理店支援策としては、プロ代理店全体を強くするこ
とを第一にした施策展開をとる。またプロ代理店が目指す大型化、集約化したモ
デル像については現在慎重に検討中だ。

◇1億代理店作りテコに
「収入保険料1億円の代理店作り」を掲げる。同社の全国プロ代理店組織中核
代理店会所属の2750店のうち、現在の「ブロンズ」(1億円以上)ランク以
上は470店。これを800店体制にすることが当面の課題だ。目指すは文字通
り「生損保でトップの販売力」の構築だ。
また、生損保1位を目指すためにはどのような取り組みが必要かを、全国63
の部支店単位の中核代理店会に問いかけ、セミナー等を通じ経営支援を強化して
いる。

◇中核代理店会の横のネットワークの強み
中核代理店会制度の歴史は古い。1976年合併前の旧日本火災時代から部支
店単位のランクアップしていく意欲あるプロ代理店会組織としてスタートした。
相互研鑽と切磋琢磨で事業化を進めるため、情報交換、勉強会、コンテストを実
施しながら会員間の横のつながり強化を図ってきた。1992年には全国組織と
なった。現在ではこの中核代理店会で同社の保険料全体の約15%を占める文字
通り中軸・中核チャネルだ。「組織内でモチベーションを高め業容拡大を図ろう」
を合言葉に、今年度に入り、再度意欲あるメンバーの強力な販売組織にしていく
ため各部支店の中核会単位に独自性持った取り組みを推進中だ。

◇合併支援チームを設置
同社では調査の結果、中核会メンバーのうち自立的な大型化を目指す会員がい
る一方で、合併を考えている層が約半数いることが分かった。「安易なムード的
合併は代理店のためにならない」という観点から、同社では04年11月から合
併のための支援チーム(4名の専任を配置)を設置し合併を現地で個別に支援し
ていく体制を整備した。

◇悩める大型化施策
代理店販売網改革については、非効率小規模代理店のローコストオペレーショ
ンと効率的な大型代理店による集約化の2極で考えている。
同社では今後の大型化を見据えたビジョン作りについては、数年前からLMA
(リーディングモデルエージェント)という一部損害調査業務などにつき業務委
託型のモデルの志向実施してきているほか、事務面などの代替機能の提供なども
検討してきた。

一時的な事務の代替などによる単なる集約化ではなく事業として発展が見込め
るモデルとするには何が必要か、悩んできた。いったんLMAを含め整理し効率
的な大型店による非効率小規模代理店の吸収・集約化の受け皿を含めて事業経営
支援施策を抜本的に整備する必要がある、としている。

受け皿となってもらえる代理店を見極め集約化を進める。先の1億以上のブロ
ンズランクへのアップ、そのための中規模代理店同士の合併・規模拡大による顧
客対応力強化を図るための一定の体制が整備できた、としている。

◇開発営業センター
ローコストオペレーション施策としては、全国22の部支店に営業社員を置か
ない「開発営業センター」を設置している。整備工場、不動産、旅行代理店など
の兼業代理店や高齢小規模代理店などを対象として、集約化、自立化を目的に、
業務フローを電話、ファックス、郵送などを中心にシステム化するとともに、女
性部隊のモチベーションを高め業務効率を向上させている。契約取り扱いのキャ
ッシュレス化も一気に進んだ。

◇新規販売力の強化
新規販売力強化では、研修生の採用と他社プロへの乗合を軸に行っている。研
修生の採用では例年300前後(03年度実績260名)となっている。コスト
もかかるため、いかに良い人材を厳選採用するかというスタンスのため、採用数
は抑え基調だが、歩留まりは高くなっている。

「研修生のデータを取ると成績ランクは1年目で決まることが判明している。
既存プロ代理店でも中小法人に驚くほど弱い代理店が多く、トップとまともに話
ができないケースが目立つ。このため、入り口の教育が大事。採用1年目に中小
法人の開拓がしっかりできる人材作りに集中して取り組むカリキュラムにした」
という。同社ではプロ代理店支援の営業社員にも中小法人開拓の重要性を徹底し
ていくとしている。

毎年他社の代理店への乗合施策による代理店新設を予算化している。乗合に当
たっては、商品の独自性よりも最近では、経営支援サービスの内容が決め手とな
っているのが特徴的傾向。同社では経営診断や合併を個別継続的に支援すること
で乗合に成功するケースが増えている。今後合併支援チームを作ったのも営業現
場のニーズに応えたものでもある。

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【6】編集人会議「いし・なか井戸端問答」
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2005年の保険業界の見どころ(上)

N 2005年の年初に当たり、この1年の保険業界の見どころを出し合って
みたい。2004年を振り返ると、懸案の制度案件で方向が決まった年となった。
銀行窓販荷ついては金融審として3月末に全面解禁方向を明確化したし、12月
には損保のセーフティネットの制度の方向を示した。また無認可共済についても
詳細検討は今後となるものの基本方向が出たのは画期的だった。また2005年
4月からの個人情報保護法施行を前に、生損保としても独自のガイドライン作り
に動いた。

I ビューポイントでも書いたが金融庁は昨年末、金融改革についての重点強化
プログラムを打ち出した。「貯蓄から投資」そのための銀行、証券、保険のワン
ストップショッピング、金融コングロマリット化を促進する環境整備が内容だ。

N すでに銀行、証券、保険の間で融合は実態として進んでいる。「金融コング
ロマリット法の制定」などと新聞紙上に大書きされていたが、金融町内の「コン
グロマリット室」の片棒でも担いでいるのではないかと思われるはしゃぎようで、
その割に中身がない。それぞれの業態別の縦割り規制を当然の前提に、その調整
を考える発想から一歩も出ない。今求められるのは事業主体論理ではなく、販売
される商品主体の「金融サービス法」のような横断的な消費者保護法制ではない
か。そんな思いを強くする。

I 持越しもある。生保のセーフティネット問題がその一つ。また銀行窓販も
2007年春までの全面解禁については、保険業界のみならず政界を巻き込んで
反発が強く「まったく先行き不透明」、今後の解禁スケジュール、弊害ルール設
定での突っ込んだ議論に入れない状況が続いている。全面解禁への見切り発車を
決めた金融庁サイドへの反発・態度硬化が尾を引いている。

N 生保のマーケットが減収構造と深刻な中ですでに解禁した個人年金市場で
銀行の強大な販売力を目の当たりにし、また外資系やひらがな生保の躍進を見せ
付けられ、生保本来の保障性商品分野に銀行が出てくると、マーケットをどこま
で取られるか、まさに生活権を脅かされるという理屈ぬきの反発が底流にある。
捉えようのない危機感がある。

I この結果、ルールの詰めの作業や部分先行解禁スケジュールも当初の20
05年4月の線は消え、「法的手続きに半年は要する」という金融庁スタンスを
考えると逆算しても10月先行解禁にもっていけるか、まさにこの1~3月に山
場を迎える。

N 保険業界のこれからを考えると、人口減少という社会構造化での保険産業
モデルを本格的に検討しないといけない。市場構造の変化に的確に対応する商品
開発と、保険流通の革新という観点を無視した施策は長くは続かない。若年層を
中心に保険、特に生保への考え方も変わってきている。旧来の大型保障という観
点のみで見るなら誰が考えても市場は縮小、そのマイナス分は第3分野商品で埋
めきれず、抜本的な商品政策、チャネル政策の転換が求められているのは明らか
だ。

Iここ数年の金融をつかさどる行政スタンスは、不良債権処理を容易にする超
低金利政策と銀行優先、その反射として生保は長らく逆ザヤに苦しむ。生損保は
その犠牲にされた、保険市場への銀行参入に肩入れし、銀行の儲け口を広げる一
方で「保険会社は自分で生き残りを探れ、古い高コストチャネルはいかがなもの
か」と静観する金融庁へのうらみつらみもある。その思いが保険関係者には強い。
特に国内大手生保サイドにその観が強く、こうした流で見ると窓販問題の先行き
不透明の背景は分かりやすい。

N ところで、損保は風水災や地震で本業の保険金支払いが巨大化したが、異
常危険準備金取り崩しや再保険回収で何とか切り抜けられる。損保経営にとって
見ると過去コツコツためてきた内部留保分を一気に吐き出す形だ。この大災害へ
の保険金支払いや損害処理サービスの提供を通じて、社会的使命が果たせる。ま
た損保への社会の期待も大きくした。税制面でも、評価となって現れた格好だ。
国が増税基調のスタンスを取る中で、税制改正大綱に異常危険準備金積立率が従
来の3%から4%に1%引き上げが認められたことは画期的だ。

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■編集後記
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新年はまさかの雪掻きから始まったが、大晦日の雪のお蔭で晴天続きの正月と
なり、昨日は恒例になっているお墓参りに出かけた。霊園は雪だまりとなってい
たが、墓参に出かけた人も例年に比べ多かったのか、雪を落とされた墓に新しい
花がいけられているのが新鮮に映った。昨年は多くの天災が日本列島を襲ったが、
海外でもインドネシア・スマトラ沖地震・津波では10万人を超える犠牲者を出
し、まだ被害は増えそうだ。墓参もいいが、新たな墓や悲しみはいらない。そん
な思いを強くする1年のスタートとなった。(石)

正月は親元を離れている子どもたちが帰ってくる。久しぶりに帰ってきた子ど
もたちから、「肥りすぎ、本気で痩せてよ」の連呼である。娘にいたっては「1
0キロやせたら旅行に一緒に行ってあげる」と条件まで出される。旅行は行きた
い一方で、食欲をコントロールするのは容易ではない。お腹の出っ張りは隠しよ
うがない。年初は原点回帰、スリム化を何度決意したことだろう。その持続力の
なさと自らの食の欲の強さにあきれる。(中98.0:28.0)

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保険代理店専門メールマガジン【inswatch】Vol.231(2005.01.03)
発行日    毎週月曜発行(年52回発行)
発行元    有限会社 インスウォッチ
発行人    長  忠
編集人    石井 秀樹  中崎 章夫(Weekly)
森田 直子(月2回長編レポート)
WEBマスター 稲葉 幹雄
URL  http://www.inswatch.co.jp
お問合せ info@inswatch.co.jp
投稿先  reader@inswatch.co.jp
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