inswatch 創刊号

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【 inswatch 】

====================================================Vol.12000.8.7====

inswatchは、保険の現場に強いジャーナリストとして、長年活動してきた石井
秀樹と中崎章夫が共同編集人をつとめる、わが国初の保険代理店専門電子メール
マガジンです。
月曜日の朝一番、保険代理店の皆様へ、フレッシュかつ粋でシャレたこだわりの
専門情報をお届けします。人と情報のネットワークを大事に、頑張る皆様にエー
ルを送り続ける、そんな夢のある、こだわりマガジンを作ってゆきます。

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■■■ もくじ ■■■
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【1】ビューポイント
-1 中さんの保険業界、ここに注目 =新しい保険文化の構築=
-2 石さんの保険業界、単眼・複眼 =顧客データベースに思う=

【2】保険業界を斬る                    長  忠
「家業から企業へ」 =RINGオープンセミナーで思うこと=

【3】代理店ダイアリー                   佐喜本敦子
「代理店の軌跡ABC―その1 私の保険業界との出会い」

【4】半歩先行く代理店
-1 《リスクマネジメント》             鈴木 英世
「鉄は燃えない!か?」=代理店「アドバンス」のリスク発見=
-2 《マーケティング》               原  桂一
「新時代のマーケティング」 =市場の創造=

【5】e-ビジネスと代理店経営               稲葉 幹雄
「顔の見えるサイトの作成」 =ITの流れに乗る=

【6】東西南北―こんなプロ、あんなプロ
-1 「最高のサービスの追求」            武山 敏彦
-2 「保険代理業 万歳!」             小田島美智子
-3 経営理念―ラーメン屋さんと幽霊         尾崎 洋二

【7】Webコラム「たかが、されどの生命保険」       森田 直子
=ホームページ「nyaoの勝手に保険講座」から見る=

【8】保険と流通の今                    中崎 章夫
<現場レポート>保険コンビニ目指す「保険やさん24」

【9】編集人会議「いし・なか井戸端問答」
損保代理店手数料問題の動向をどう見るか、代理店経営への影響は?

■ ThisWeek
<最近の保険業界・各社ニュースを取り上げる>
■ 編集後記
■ inswatch購読申込の手順

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【1】-1 ビューポイント「中さんの保険業界、ここに注目」
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「新しい保険文化の構築」

◇情報化のスタートライン
保険のマーケットが動き出した。現場を歩いていると特にその思いを強くする。
保険やリスクに関心を持つ顧客も増えてきたし、保険の購入についても比較購入
のための情報提供が強く要請されるようになってきた。保険会社も、最近ではイ
ンターネット等を活用して顧客に直接、保険関連情報を提供する試みに力を入れ
出した。代理店単位でもホームページを持つケースが増えてきた。温度差は気に
なるものの、結構なことである。まずはスタートラインに立つことだから。

この1年ぐらいは情報提供に関しては猛烈な勢いでいろいろな試みがなされよう
が、次は、選別の段階となろう。情報や情報提供の仕組みの中身(コンテンツ)
が問われることは間違いない。
inswatchも、そんなタイミングでデビューする。コンテンツにこだわって、プロ
の代理店経営者向けに保険やリスクに関する座標軸を提供するのが狙いである。

◇メーカー論理と販売の関数
ただ、永年、保険業界は規制の下、画一的な横睨み文化になれてきた。顧客第一
や顧客志向を掲げても、実のところ関心は行政の1挙手1投足、自社の利害、マ
ーケットシェア、そして代理店は保険会社への依存と反発、自らの収益確保にあ
った。メーカー論理や販売者(ディーラー)論理が跋扈し、顧客、ユーザーサイ
ドの視点がぼけていた。むしろ全国の市場に画一のスタイルで販売していくには
焦点はぼけていた方が好都合だった。

こうした時代は、自ずとメーカー論理で割り切れた。建前は別として保険の販売
の関数としてしか代理店や募集機関も話題にならない。質は二の次で膨大な数の
代理店が設置され、またそのバックアップサービスに大量の営業支援社員が投入
されてきた。現実の数字達成、実績の前に批判の声はかき消されてきた。

◇顧客論理に風向きが変わった
それがどうだろう。風向きがはっきり変わった。保険規制が外され、競争原理が
持ち込まれ、自己責任がやかましく問われる時代になった。倒れるケースも出て
きた。顧客ニーズに即応できるスピード感が経営者に不可欠になってきた。顧客
の定義をはっきりさせ木目細かな対応ができなければ顧客にそっぽを向かれる。

「顧客ニーズとの戦い」がこれからの企業行動の核になる。既存の規制にどっぷ
り使った保険会社は、内外からの新たなライバルの相次ぐ参入による価格競争に
防戦一方で、じり貧になりかねない、このままでは代理店とて同じ、という危機
感がでてきた。行くところまで行かないと変わらないとの、悲観的な見方も依然
としてある。

◇情報化が変えるビジネスと意識
いまIT(情報技術)をテコに業態革命が進行している。インターネット技術を活
用したビジネスモデルの構築に大きな潮流もできつつある。保険の通販、保険の
見積もり情報サイトが登場したり、顧客サイドで比較購入の動きも大都市部から
出てきつつある。こうした動きがどれほどのスピードで、保険やリスクに関する
顧客の意識を変えていくのか。またそれを保険会社、代理店経営者がどう読んで、
どのように動いていくのか。

代理店の強みも弱みも人のネットワーク商売にある。「自分を売れ」つまり個人
ブランド作りが根幹だった。そこに脆さもあった。いまインターネット技術の活
用で新たな展開の可能性が出てきた。属人的な弱みを人=情報ネットワーク化で
再強化することも可能になり、時間空間の制約を超えた取組みが可能となった。
代理店会社ブランドでの展開を試みる事業者が一気に増える芽が出てきた。

◇人プラス情報のネットワーク
保険代理店の人と情報のネットワークを活かせれば、新しい保険文化の構築も可
能だろう。そこに明日の保険マーケットの主役の姿を見出したい。
(中崎章夫)

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【1】-2 ビューポイント「石さんの保険業界、単眼・複眼」
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「顧客データベースで思う」

◇優績者の古びたノート
代理店にとってシステム投資と顧客データベース化の重要性が叫ばれているが、
一昔前、生保のトップセールスマンといわれる女性たちにインタビューしたこと
を思い出す。トップの人たちに共通していたことは厚いノートを何冊か持ち、そ
れにお客さん一人一人のデータを書き込んでいたことだ。契約者本人のことはも
ちろん、家族や紹介者との関係など単なる契約内容ではなく、お客様の顔(一家
の生活記録)がメモされていた。

彼女らは「これが私の財産」と古くなったノートを示し、正月休に整理するのが
楽しみとのことであった。ノートの量は人によって違ったが1000人近くの名前が
並んでいたように思う。新契約至上主義でシェアを拡大してきた生保だが、契約
に行き詰まるとノートを1枚1枚めくってみる。すると何とか目標を達成すること
ができるということだった。データに基づいてタイミングよくアプローチする。
時には、適齢期を迎えた娘さんを見つけると、誰かいい人を見つけてあげようと
いう”おせっかい”な気持ちも出てくるわけだ。

今はパソコンによって顧客管理も容易にできるし、1人で管理できる顧客数も飛
躍的に増加している。また、日々情報を盛り込むことができる等、効率的なシス
テム管理が可能となっているが、保険セールスの基本的な在り方は優績者のノー
トの中にあるような気がする。

◇仲介から提案へ
これまで保険販売は、商品・価格・サービスが同一の中で、代理店も小売りの機
能を発揮すれば、それで一定の利益を享受できた。つまり商品の<仲介>販売で
あって、その結果、顧客の顔は一律だった。しかし、保険の自由化によって、販
売の在り方もマーケットニーズに対応した<提案型>へと変化してきているし、
各社の商品・サービスの仕組みも個別化してきている。

<仲介>から<提案>への転換はその前提として「顧客の顔」が必要であろうし、
それに基づいた提案・サービスが結果として<顧客維持>につながる。販売の効
率化はシステム技術の革新によって大きく改善されたが、それに加えて、今あら
ためて、かっての生保優績者の古びたノートの評価が思い起こされる。
(石井 秀樹)

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【2】保険業界を斬る                     長  忠
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「家業から企業へ」

◇RING大阪セミナーの印象
7月1日RINGの第2回オープンセミナーが大阪で開催された。プロ代理店の
方々を中心に、全国から二百数十名が参加して熱気あふれる会となった。業界ト
ップレベルのそうそうたる代理店から、開業したての意欲あふれる若手まで、ま
た、北は北海道、南は九州から多数が参集した。
RINGは、本inswatch共同編集人中崎章夫が、尾崎洋二さん(常勝保険サー
ビス)とともに、1997年、各地の先進代理店に呼びかけて、インターネット
を活用したメーリングリスト(ML)を立ち上げたことに端を発し、現在、代理
店をメンバーとする正会員と、誰でも参加できる
オープンMLがあり、オープンMLには現在約130名が登録されている。

第1回セミナーを取仕切ったグローバルインシュアランスの村田さんが、今回の
セミナーについて以下の総括をしている。

大阪オープンセミナーは、もしかしたら保険業界の歴史に残る(残すべき)1ペ
ージになるかもしれません。もっとも遅れている業界との評価が保険業界ですが、
(中略)今後は、もっとも早く変革した業界との評価になるのではないでしょう
か? そんな業界の地殻変動を感じたセミナーでした。
今回のセミナーの成功は、主催者側の努力も勿論だが、MLを通じた口コミ(メ
ルコミ?)により、輪が広がって行ったことによるところが大きい。インターネ
ットによる情報共有の威力をまざまざと実感できた。

◇ネットで企業家へのハードル突破
大きく技術が変わる時期には、1周遅れが先頭に立つことが良く起こる。紙と鉛
筆の事務を温存して、世間の流れに逆らっていた保険業界が、村田さんご指摘の
ように、インターネット活用で、一気にTOP集団に踊り出ることも夢で無いな
との感慨を持ち、興奮を禁じえなかった。
トップクラスの保険代理店でも、従業員10人未満のいわば家業レベルにとどま
らざるを得ないのは、長く規制に守られ紙と鉛筆という前近代的事務が温存され
ており、そのために、企業化への前提である情報ネットワーク化に対するハード
ルが、代理店にとって著しく高いことにあった。
いよいよ、インターネットを代理店経営に活用することで、そのハードルを乗越
えることが可能になりつつある。

◇保険業界への執筆スタンス
inswatchには、保険代理店が「家業から企業」へ脱皮するにはどうすべきかをテ
ーマに、多彩な執筆陣にお集まりいただいた。特に、高いハードルを乗越え既に
先進的取組みを進めている代理店やそれらを支援してきた関係者に、様々な切り
口で、その取組みを語ってもらう。大いに参考にしていただきたい。
筆者は、RINGのアドバイザーになるまでは、保険業界とは無縁の所にいたの
で、やや、距離をおいて眺めることが出来る立場にあると思っている。本コラム
も、そのスタンスで書きますので、ピント外れには忌憚のないご意見を!!
(経営数理研究所代表)

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【3】代理店ダイアリー                  佐喜本 敦子
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「代理店の軌跡ABC―その1 私の保険業界との出会い」

代理店を法人格にして、この2月で丸15年となります。この連載をお引き受け
しましたのも、自分自身の代理店としての軌跡を辿ることで、今一度、代理店の
実像を確認し、21世紀に向けての心の準備をしたいと考えたからです。

◇教師から副業代理店に
私が損保業界と関わりを持ちましたのは、25年前にさかのぼります。当時は、
中学校の新米教師で、かたわら父の小さな運送会社の事務も手伝っていました。

父の友人が、保険会社の転勤で広島へ赴任してき、よくある話の代理店委託の話
が持ち込まれました。当時の事務員さんは高齢で、結局、私が資格を取るはめに
なりました。保険の「ホ」も知らず、ましてや、今日のようにプロ代理店になる
とは夢にも思っていない正真正銘の副業代理店のスタートだったのです。結局、
中学校は1年で退職し本格的に父の会社を手伝うことになりました。

しかし、代理店業は開店休業状態が続きました。何しろ、父の会社の自動車保険
契約はディラーに継続されており、私と言えば、当時、新発売の積立商品を細々
と売っていたくらいの代理店だったからです。

◇ある担当者との出会い
この状態が一変したのは、転任してきた社員が私の担当となり、父の人脈を生か
して、嫌がる私を助手席に載せ(何しろ当時は20代の可愛い女の子でしたから
?)団体開拓を始めたことがきっかけでした。

彼は、剣道の達人で、入社募集のない保険会社へ乗り込んで行き、入社試験を受
けるというバイタリティの持ち主でもありました。彼の熱意には父も私も、負け
てしまったのです。今、思うと、彼が担当者として私の前に出現しなければ現在
のBOAZ(ボアーズ)は存在しなかったかも知れません。

◇どうなる営業担当者の存在
人の縁と巡り合わせが、人生の大きな転機となるのです。「担当者」の存在が、
代理店(特に個人代理店)に多大な影響を過去も現在も及ぼしていることは間違
いありません。

しかし、21世紀、保険会社の組織構造が激変する中で、営業担当社員の存在に
どのような変革が起こるのでしょうか?まさに、代理店との共存は可能なのでし
ょうか?
((株)ボアーズ取締役顧客マネージャー)

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【4】半歩先行く代理店 -1                鈴木 英世
《リスクマネジメント》
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「鉄は燃えない!か?」

◇代理店「アドバンス」の狙い
半歩先ゆく代理店「アドバンス」は、六月の群馬県の日進化工社、爆発事故にヒ
ントを得て、メーカーへの営業展開を目指した。日新化工社も本社は東京である。
検索してリストアップしたら、なんと都心部にもメーカーは、かなりあるのだ。
創業48年従業員270人、売上高40億円、経営指標も良く、系列もない。ア
タックするには程よい規模で、心が弾んだ。

取締役総務部長は、一枚のファックスによるDMとテレ・アポに応じてくれた。
戦後リヤカーで汗みどろになって一代で作り上げた会長は,会社が命の次に可愛
いと言う。この会長は息子に社長を委ねてはいるが、工場の統括管理だけは任せ
ない。手塩にかけて育てた会社の心臓部の工場は自分と工場長の二人がすべてを
知っている。総務部長ですら工場には足を入れたことは一度しかないと言う。典
型的な会長ワンマン会社である。工場建坪二万八千平米、都心部に自社ビルも所
有。工場爆発事故の件に話題を進めた。総務部長は、実は心配なんです、という。
本社ビルと工場の火災保険はつけているが、利益保険などは掛けていない。

◇「鉄は燃えない」だから保険は必要ない
保険は原材料の鉄が高騰していた頃に、面倒見てくれた商社からの紹介で火災保
険だけは入っている。この代理店、小回りが効かず、その後のフォローは殆どな
いと言う。

早速に、利益保険の提案をし、工場の危険診断サービスを提言し、総務部長は会
長に、打診をしてくれた。しかし、技術屋の自説で「鉄は燃えない」だから保険
など必要ない、である。

総務部長に不安ではありませんかと持ちかけたところ、工場から5キロメートル
のところに消防署があり、査察を受けた。そのとき、自動火災報知器の設置を勧
奨されたが、すべてはワンマン会長が裁断を下す企業であり「必要ない=鉄は燃
えない」と言う一言で未だに設置されていない。これが消防法に違反する。

◇消防法違反は罰金・拘留も
消防法(17―1)と施行令(21)で工場は500平方メートル以上は自火報を設
置・維持する義務があり、検査の拒否、届出を怠りは罰金10万円以下もしくは拘
留(法44―3―2)、点検と報告をしない場合は罰金10万円もしくは拘留(法44
―7―3)となっている。

消防法の8条には、消防計画の作成、消火避難訓練実施、消防用設備の点検(自
火報など)を社長が防火権原者として防火管理者を指名して行う義務がある。
これを実行していない場合、消防署長は改善命令が出せるし、その命令にそむい
た場合、防火権原者に対して六ヶ月以下の懲役もしくは20万円以下の罰金(法
42条)を命じることが出来る。

ホテルニュー・ジャパンの当時は、消防署はスプリンクラーの設置を指導要請は
出来るが,事業者が無視するものを強制は出来なかったのです。あの大惨事以来
消防法の改正があり、現在は基準以上の建造物はスプリンクラーの設置や自動火
災報知器がないと建てられない。

◇なにがリスクか?
ワンマン会長は、万一火災があっても防火権原者ではないので罰せられないし引
退すれば済む。でも社長はたまらない。自分が罰則を受けるからだ。
もっと気の毒なのは部下だ。火災などでこの事実がわかると、今時、消防法違反
を長年承知してやるような会社の製品を購入はしなくなり、倒産への道を歩むこ
とになる。

この法令違反を平気でいる会社、会長が「うん」と言わないと何も出来ない社風
これこそリスクの「かたまり」だ。代理店「アドバンス」は久しぶりに燃えた。
さてあなたなら、どうする?
(サンビジネス東京(株)会長)

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【4】半歩先行く代理店 -2                 原 桂一
《マーケティング》
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「新時代のマーケティング」

業界関係者向けというinswatchの方向性をお聞きし、日本初の保険業界独立系
メールマガジンのお手伝いをさせていただくことにワクワクしております。
担当がマーケティングということですのでIT時代にそくした代理店の新しい位
置取りのヒントになれば幸いです。

◇保険販売の「市場創造」とは
まず「マーケティングとは何だ?」という質問に皆さんはどう答えますか。
英語の試験ではありませんので代理店にとっては字義的な意味よりも感覚的な理
解が重要なのです。本来のマーケティングとは「市場への商品提供プロセスの方
法論」かもしれませんがそれ以前に必要なのは、そこに市場が存在することなの
です。

そこでまず保険を販売するための「市場創造」からご一緒に考えましょう。
皆さんは自分より後輩の代理店に営業数字で追い越された経験をお持ちですか。
そんなときに「あいつは人口の多いベッドタウンを担当してるから」とか「身内
が大きな会社を経営しているから」とか自分の心に言い訳をしませんでしたか。
その前提として「保険の知識や経験では負けていないぞ」という自負があったは
ずです。しかし結果として負けたのですから言い訳ではなく敗因の分析をするべ
きなのです。実はこの「人口の多い地域を担当すること」「大きな会社を持つ身
内に自分をアピールすること」これらこそがマーケティングなのです。そして敗
因は偶然ではなく必然であったことに気づかなければリターンマッチでのあなた
の勝利は無いといえます。

◇“あいつは俺の飯の種”
ある保険会社で研修生の勉強会があったときのことです。積極販売できない原因
を討議していたときに「お客への恐れ」というエレメントがピックアップされま
した。ベテランの皆さんにもその昔経験のあったことでしょうか。恐れは自分の
心に生じますから対策としてはお客に呑まれないことが大切と分析がなされまし
た。解決策としてみんなが標語を出し合ったのですが、採用された作品は「こわ
がるなあいつは俺の飯の種」でした。

飯の種には笑いましたが、つまりマーケティングとは自分の食卓に食事を乗せる
作業なのです。好きなものだけ食べてもいいし栄養バランスよく食べるのも大切
です。お腹が空いているときはすぐに満腹になるL字型手数料食品が助かるし腹
持ちがいいのは平準手数料食品とそんな具合です。

◇手数料構成のバランスは?
皆さんは栄養バランス考えてますか?同じ手数料でもその構成が何から出来てい
るかは今年もっとも注意すべき点なのです。あまり注目されていませんが、なぜ
大切かといいますと2001年の第三分野の自由化で多くの競争力ある商品群が
市場投入されるのです。もし今大きな手数料を得ていてもお客様がなだれのよう
に移動をはじめたらどうでしょうか。みるみる山がなくなってしまうかもしれな
いのです。連峰になっている、つまり幾つかの保険種類から手数料を得ていれば
このリスクは軽減されます。同じように平準手数料のバランスも大切です。契約
のメンテナンスだけにあぐらをかいていたのでは大競争時代がスタートしたとき
に新規の販売力を失っていたことに気づき呆然とするかもしれないのです。マー
ケティングとは既存顧客の市場を耕して収穫をあげ続ける作業と新規顧客の開拓
により畑を広げる作業の二つを言います。これはどちらも大切です。既存顧客の
防衛と新規開拓は表裏一体なのです。
((有)セントラル・ファミリィーライフ代表)

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【5】e-ビジネスと代理店経営               稲葉 幹雄
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「顔の見えるサイトの作成」

保険のポータルサイト、『保険の広場』をスタートさせたのが95年の9月です。
この9月で5周年を迎えることが出来ます。皆さんの応援と励ましがあってこそ
ここまで来ることができたと思っています。ありがとうございます。

◇ネット人口5年後は8000万人に
奇しくも5年目の今年はインターネットにとって革命的な変化の年になりそうで
す。エーシーニールセンとネットレイティングスが発表した5月のインターネッ
ト人口調査によると、国内の推計インーネット利用者数は1917万人に達して
います(毎日INTERACTVE6月20日)。郵政省はネット人口はさらに2005年
には8000万人に(総人口の6割)に達するとの予測を示しています(同前
5月23日)。

こうした数量的な拡大以上に注目すべきは、インターネットに要する電話料金の
定額化です。NTTはISDN回線経由インターネット接続の電話料金が定額の
「IP接続サービス」を、7月に全国の政令指定都市に、今年度中には県庁所在
地及びそれに準ずる都市に拡大するといっています。
各地のCATVの定額サービスも拡大されています。モバイルの通信料金も低額化
しています。2000年は「いつでもどこでもインターネット」の条件が整う最
初の年になりそうです。

◇まずはITの流れ先取りを
IT革命やe-ビジネスという言葉が叫ばれ代理店としてはインターネットを含
めたIT(インフォメーション・テクノロジー)をどう利用したらよいのか、に
ついて迷っておられる方もあると思います。ITはインターネットに限るもので
はありません。しかし先ずは上記の流れに乗り遅れないことです。24時間常時
接続のインターネット環境をできる限り早く整えることです。

次回以降に述べたいと思いますが、インターネットは情報の発信のメディアであ
るとともに、情報の入手先としても重要なメディアであることを忘れてはいけま
せん。また電子メールも常にチェックできることが必要です。24時間常時接続
のインターネット環境があって、初めてこれらのことが可能となります。

◇圧倒的少数な代理店サイト
といっても当面皆さんに関心があるのはサイトの構築の問題かも知れません。今
どれくらいの数の保険代理店が自社のサイトを設けているのでしょうか。『保険
の広場』には「代理店」という項目が設けられています。「代理店」で検索する
と現在312件の代理店のサイトが検索されます。1999年度末で上級以上の
代理店の数が9万3950店(損害保険協会)です。この数から見れば僅か
0.33%にしかなりません。312件のサイトの中には生保の営業職員の方の
サイトもありますので圧倒的に少ない数といえるでしょう。

ではどのようなサイトを作成したらよいのでしょうか。また、サイトはどうして
も作成しなくてはならないのでしょうか。その前にある数字を見ていただきたい
と思います。前述した代理店のサイト312件のうち、メールアドレスが明記し
ていないものが44件、代理店の所在地が明記していないものが46件あります。
この数字をいかに考えたらいのでしょうか。
((有)オフィス・イナバ代表)

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【6】東西南北―こんなプロ、あんなプロ
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-1「最高のサービス」の追求                武山 敏彦

「お客様にとって、最適の保険を最高のサービスで」
これが我が社の経営理念です。では、最高のサービスとは何か?
お客様の考え方、感じ方それぞれに違いがあって当然だけに普遍的な方法論など
見つからないかも知れません。しかし、お客様個々の抱えていらっしゃる問題解
決のお手伝いなら保険という無形の商品を通して お役に立たせていただけるの
ではないかと考えております。

「先ず、お客様を受け入れること」が問題解決の為の糸口であり、「しっかりと
お話しを聞かせていただく」ことがお客様のニーズに合った最適の(最高ではな
い)保険商品をお選び頂くことになり「お互いに分かり合えること]で相互の信
頼と単なる縁を「絆」にまで高める事が出来るのではないかと思っております。
「お客様を知ること」こそが、一番のキーワードであり、そのお客様の情報をス
トック、共有化する手段として現在「お客様データベース」を構築活用すること
に力を注いでおります。まだまだ道のりは険しいですがコツコツと「最高のサー
ビス」の追求をしてまいりたいと思っております。
((資)森山保険 宮城県石巻市あけぼの3-9-1)

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-2「保険代理業 万歳!」                小田島美智子

昭和46年8月、27才で研修生として入社。翌47年11月、独立開業。48
年3月、独立事務所新築。51年3月法人化、社員採用。56年11月、特級
(一般)代理店認定。およそ10年間、「新種の得意な元気な代理店」として、
わき目も振らずに駆け抜けた私でしたが、その年の暮に父が亡くなり、人生が根
底からひっくり返ってしまいました。57年には父が経営しておりました「食品
問屋」の取締役、59年に専務、62年には社長を引き受けるはめに陥りました。
ですからおよそ20年は二兎家業のわらじを履いてきました。10年間程は「何
でこの私が?」と、もっぱら「恨み節人生」でした。

「保険代理業」も中途半端、つまり「イヤだ!」と思っているから、どちらのビ
ジネスにも良い発想など出るはず有りません。でも容赦無く各種責任は追い駆け
て来ます。
それからの4、5年は、不況の「食品問屋」に振り回されて、朝から晩までトラ
ブルの対処業のようでした。(この時期、笑顔が無くなった、年を取った…と、
言われました)。そこでようやく「ひとりで何でもやるのは限界がある」と気付
いたのです。どちらの会社も「人を信じて、仕事を任せ切る事」の大切さ、役に
立つ人材と後継者の育成です。

当初は、もちろんクレームとトラブルの山でした。しかし、しかし1年、2年、
3年…どちらの会社も幹部はもちろん、社員の成長は日々、目を見張るようでし
た。知恵もアイデアも気付きも心配りも、さすがに私一人の頭より30人です。
ですからこのところの4、5年は、実務には目をつむり、二兎家業の「経営者」
をやっています。そこで気付いた事は、保険代理業の素晴らしさです。

「経営」の半分は危機管理です。自分は「保険」を売りながら、お客様のあらゆ
るトラブルの中に身を置いた事、「どうしたらお互いに気持ち良く解決が図られ
るか?」と法律や心理学まで学び?日夜、心を砕いた事、各業の経営トップの愚
痴や悩みの聴き役をやった事。何一つ、無駄な経験は無かった、のだと。そして
3年前から悪戦苦闘で覚えたこのインターネット・Eメールの時代です。契約先
の社長や保険の仲間、弁護士、医師、会計士、社員へと広がってメールの中味は
町おこし、悩み事、そして経営相談、危機管理についてのやり取りも多くなって
来ました。「保険代理業」としての経験は素晴らしかった、のです。

まさに中小企業の経営者や地域の経営者のアドバイザーに適役なのです。これか
ら先の21世紀、いよいよ「経営上の各種危機管理」についての知識を強く求め
られると思うのです。
((有)おだじま保険事務所 新潟県小千谷市城内1-10-19)

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-3 「経営理念―ラーメン屋さんと幽霊」          尾崎 洋二

大げさに「経営理念」なんて、と言われそうですが、これが意外と経営規模の大
小に関わらす大切なことなんです。
奈良県のある有名なラーメン屋さん。お昼と夕方6時、夜12時と3回かならず
毎日行列ができるラーメン屋さんです。1日2000人が来店し、客単価は
800円なので日商は600万円。年間の投資回収率は100%近く、売上対利
益率は24%前後といいます。

たかがラーメン屋さんと言うなかれ、まず「経営理念」ありき、でここまでの繁
盛店になっております。「私の修業していた時代の経営者は、従業員を安く使っ
て自分だけは儲けている人が多かった。私は、『お客様がまず喜び、社員も取引
先も経営者も喜ぶ理想的な会社』を作りたいと思った」というラーメン屋さんの
言葉そのものが経営理念となっています。

「幽霊はなぜ怖いか」それは「足がないから」。この足を経営理念と置き換えて
みれば分かります。「足がないということは、それが何者やら実体が分からない
から怖い。実体が見えないと何が起こるか分からない。

はたして貧しい酪農家を救うための社会運動として創業した某大メーカーはその
理念の元、品質に拘り、全社員禁酒禁煙の誓約書をとり、工場では全員衛生のた
め丸坊主であったのに、理念が時代とともに後輩によって忘れ去られ、大社会問
題を起こし、生活者に迷惑をかけたのみならず、専属販売店の2割ちかくを廃業
に追い込みました。

やはり「軸足・基本=経営理念」がないと怖いのです。
((有)常勝保険サービス 宮城県仙台市太白区中田町字荒屋敷74-8)

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【7】Webコラム「たかが、されどの生命保険」       森田 直子
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「nyaoの勝手に保険講座」から見る顧客の視点

私は8年前に生保レディになり2年前より独立起業して現在代理店をしている。
8年間保険業界に属し保険知識を勉強してきたが、自分が素人だった8年前は恥
ずかしながら「保険金」と「保険料」の違いも知らなかった。しかし素人の感覚
とはこんなもの、保険は解りにくい商品なのだ。
自分が素人の時の感覚を思い出し、保険に対して知識のない素人に解るように生
命保険を説明する、という主旨に基づきホームページ「nyaoの勝手に保険講座」
を立ち上げたのは平成10年12月。ここ半年、ネット情報誌・マネー情報誌に
などに紹介されるようになってアクセス数がのび、掲示板や相談メールを通して
顧客側の気持ちをリアル感じる機会が増えることとなった。素人のごく素朴な疑
問や悩み相談は、自分自身に初心の気持ちを呼び覚ます新鮮なものが多い。そこ
から見える顧客の視点をテーマに、事例を紹介していく。

◇プライバシーと保険
「持病を持っているが保険に入れるか」「災害で家族が行方不明になった。せめ
て葬式ぐらいはしてやりたい。行方不明者の保険金請はどうしたらいいのか」
「実は夫が蒸発した。夫名義になっている学資保険をどうしたらいいか」
「夫がガンで余命がない。保険の内容を夫が管理しており聞くことが出来ない」
こういったプライバシーが絡んでいる質問は結構多い。非常に気の毒な身につま
される例や、回答に躊躇するものもある。しかし、ネットでお互いに顔が見えな
いから聞いてきたであろう質問なので、自分はつとめて率直に答えるようにしい
てる。

保険とプライバシーはもともと切っても切れない関係にある。収入や財産や借金
まで聞き出す位置にいる私たちは、顧客のプライバシーを背負う立場でもある。
顧客にとって忌憚なく本心を話せる存在とは・・・?近すぎても遠すぎても、顧
客は本心を話しづらいのかも。場合によって、あらゆる顔を私たちは持っていな
ければならないのかもしれない。顧客のためにどこまでしてあげられるのか、ま
たどこまでするべきか、難しい部分を含む。しかし現に、プライバシーに絡んだ
質問メールは「お願い教えて」という相手の切実な気持ちを感じるものが少なく
ない。お客様にとって聞き難いことも聞くことが出来る存在でいるというのは、
保険を扱う者にとって忘れてはならない事だということを、考えさせられる。

◇初心
先日、中学生から質問がきて、夏休みの課題作文のテーマが「生命保険」だとい
う。生命保険について何も知らないので何から書いてよいかも解らないというこ
とだ。なかなか味のある課題を出す先生もいるものだと感心してしまった。

『生命保険というのは、そもそも、みんなでお金を少しずつ出し合って、困った
ときに備えよう、というものです。誰かが困ったとき、みんなで助ける、自分が
困ったときみんなに助けられる。こういうのを「相互扶助」といいます。』
と、ここまで書いて自分でもホントにそうだよなぁ~と嬉しい気持ちになってし
まった。自分が初めて保険業界に足を踏み入れたとき、最初に学んだことだ。あ
の時「へぇ~保険って大事なものなんだなぁ、もっと色々知りたい」と素直に感
じた時のことを思い出す。手数料やノルマなど現実に追われていると、最初の素
直な気持ちははすっかりどこかに忘れてる、と苦笑してしまった。中学生の質問
は自分の心をあらためて新鮮な思いにしてくれた。
((有)エヌワンエージェンシー代表)

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【8】保険の流通の今                    中崎 章夫
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<現場レポート>保険コンビニをめざす「保険やさん24」

◇4代理店が合併に踏み切った
本年4月1日、埼玉県最西北端〔児玉郡、本庄市〕で展開する4代理店〔株式会
社KRS,有限会社なかくき保険事務所、あきやま保険サービス、吉田保険事務
所〕が、家業型経営からの脱却による地域顧客指向の保険コンビニ経営を掲げ合
併した。新代理店の愛称・ブランド名は「保険やさん24」、正式社名は株式会
社KRS〔児玉郡上里町神保原268、渋澤健司社長、40歳〕。

JR高崎線本庄駅隣の七福神のいる駅で売り出し中の神保原(じんぼはら)駅を
降り、本通りに面したすぐのところに、大きな代理店看板とともに前面を駐車場
スペースとした2階建てのレンガ風コテージタイプ、事務所内が丸見えのガラス
スクリーンを使った開放感のあるしゃれた来店型の本拠の店舗を構えた。
5月28日には地元関係者など140名を集め本庄市で結成披露式典が開催され、
コンビニ型保険代理店が産声を上げた。

◇得意技を活かしチーム編成
4店は取引保険会社を別とし、損保挙績は1億前後の地域リーダー的代理店だ。
地域で知りあったもの同士が一昨年秋以来、毎週火曜日早朝に話し合いを続けて
決断した。保険会社の枠を越え、かつ理解を得ての比較的珍しい合併ケースだけ
に障害もあったが一つ一つ乗り越え実現にこぎ着けた。代理店主の年齢は58歳、
50歳、45歳、40歳と年代も違えば、持ち味も違う。事故処理に長けている
人、企画・システムが得意な人、生保営業が強い人、と異なる得意技を持ったも
の同士が同じ志で統合に踏み出した。ちなみに社長は一番若い人がついた。

◇夢の共有と実現が課題
合併により損保挙績は3億5千万円、手数料ベースで損保4,500万円。生保
は手数料ベースで1,500万円、生損保計で6,000万円だ。陣容は男性5
人と女性4人(8月1日に新入社員を採用予定)、現在取引保険会社は損保4社、
生保9社となっている。陣容を賄う、生産性のアップが求められる。合併での正
否は、新会社の目指すところ、夢の共有とそれぞれの顧客を新会社共通の顧客に
名実ともにできるか、そしてそれぞれの持ち味がうまくいかされた分業がとれる
かだ。取引先が多いだけに顧客管理面などでのシステム対応も大きな課題だ。

◇「街の保険やさん」ブランド
新代理店名に、目指す代理店像が端的に示されている。最近では流通小売業に限
らずサービス業でも「写真屋さん45」とか「ハンコ屋さん21」とかコンビニ
型の店舗の展開が目立つが、「保険やさん24」も「分かりやすい、親しみのあ
る、覚えやすい」をキーワードに地域の顧客に親しまれ支持されることを念頭に
おいたブランド名を採用した。

◇「いつでも開いている」サービスに挑戦
保険専門のプロとして顧客サービスをどうするか。生身な人間だけにサービス時
間帯にはおのずと制限がつきまとう。個々の専業代理店にとりスタッフを増やす
にも先行投資やスタッフ教育が難しい業種なだけに、同等の能力のある店主同士
が組んで組織を作りそれを広げていくことで24時間年中無休のオープン体制を
考えたという。「24」は、年末年始4日間を除き年中無休の毎日営業。
営業時間は午前9時から午後9時までだが、当面役員が担当を決め交代で、夜間
・休日でも連絡が取れる24時間サービスを掲げる。「どんな環境になろうとお
客様の安全をお守りすることが我々の使命」を基本にサービスの拡充、的確なア
ドバイス提供を実践していくという。

◇「お役立ち窓口」店舗ネット展開
保険やさん24の本店はとりあえず立ち上げたが、システム面を含め現在次の展
開を図るべく顧客のお役立ち窓口としての基盤整備に余念が無い。特に顧客は生
保も損保も関係ない、他で契約したものも含めすべての保険を顧客単位に整理し
て一覧化するサービスを展開中である。本店の基盤整備が一段落したら、すでに
ある事務所を利用し本庄に1号店を出店する計画で、高崎線に沿って多店舗化も
検討する。こうした多角的なサービス展開のためにも顧客データベースを構築し、
地域密着営業とともに、顔を見せなくても済む営業手法であるダイレクトマーケ
ティングも展開してくことが課題だ。

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【9】編集人会議「いし・なか井戸端問答」
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損保代理店手数料自由化動向と代理店ビジネスの今後について

I 7月下旬から金融庁の認可が個別の損保に順次おりはじめているね。明年4
月から従来の業界通過儀礼型種別手数料体系が、損保各社別手数料体系に変更に
なる。それだけに、どのような基準で、実際どうなるか、注目が集まっている。
現場での声はどうか。

N 既に何社かで認可取得して体系の概要説明をはじめたところもある。いち早
く自社の中身を代理店に示したいという思いがある反面、後出しでより代理店受
けする条件が出されたら、という不安もあるようで、数値を明記した説明は差し
控えている.口頭で示してもあくまで暫定的なもので変わりうるというところを
強調している。

I損保各社の水準が出そろうのはいつ頃だろうか。

N 多分8月末までには各社認可を取得するのではないか。9月下旬にいろいろ
な代理店行事を集中させている傾向が見られるのもその辺の読みがあるからでは
ないか。

I 各社の動向でオリジナリティある手数料率は出てくるのだろうか。

N 乗合代理店として複数保険会社と取引する代理店の存在が重い。損保各社独
自性も出したいのだろうが、手数料比較されると、他の損保より不利な水準では
大型代理店を中心に有利なところへのシフトが一気に進みかねない。それは避け
たい。

I ということは依然として横並び意識が強いということか。

N トップのカードが切られるのを待って調整するスタンスだろう。やはり事業
費率等競争力の強いところがプライスリーダーになる。各社とも事業費圧縮が最
重要経営課題になっているだけに手数料面の総枠圧縮願望も強い。直販社員制度
を採る会社の支給水準の見直しも一部始まった。

I 確かに代理店制度を取る会社レベルのつばぜり合いで、手数料の高止まりに
なれば、他の販売手法を取るダイレクトの価格攻勢に更にさらされる。チャネル
コストがクローズアップされたのも海外損保との比較やダイレクトとの価格競争
の中でだからね.保険価格にシビアになってきたユーザーの成長も無視できない。

N 明年4月の新制度移行で、即手数料総枠が大幅に削減されるとは見込みにく
い。
規模が大きく自立度や顧客対応能力の高い代理店には現在の水準以上も保証され
るから。その比率がたとえ数%でも扱い規模が大きい分、全体への影響も出るか
ら。ただし、中長期的傾向は手数料水準はかなり下がる。

I すでに各社独自料率制度に7月から本格的に突入した。従来の算定会料率商
品は姿を消していくが、それに代わり独自商品が目白押しになり、その際の手数
料設定がどうなるか。すでに、外社を含め新商品について手数料を10%程度に
設定するものも出てきた。目が離せないね。

N 「良いものを安く」という流れは保険の世界でもキチンと見ておく必要があ
る。損保の優良契約の保険料は3割程度下がることも視野に入れる必要がある。
代理店経営者も単なる仲介、取り次ぎの手数料ビジネスからの脱皮が必要で、顧
客群をクラブ化して付加価値サービスを高め、プロとしてのリスクマネジメント
アドバイス業、ソリューソン(問題解決支援)業、コンサルティング業としての
業態革命が必要な時代になった。

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■編集後記■
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「inswatch」創刊号やっとスタートすることができました。今までにない保険
のメールマガジンを発行しようとの意欲で取り組んできました。その間いろいろ
な構想・企画が浮かぶ中で、まずは小さく生んで大きく育てていこうということ
で掲載の企画も限られたものとなりました。今後、より多彩な企画・執筆陣を予
定しております。ご期待ください。(石)

保険業界の片隅に、「草の根」媒体が誕生した。アナログ、右脳型の編集人がデ
ジタルの仕掛けに乗って、情報を受発信しようというのだから面白い。ネット上
の口コミでどこまで支持を集められるか。「小さく生んで小さいまま」では困る。
顧客中心の新しい保険文化作りを担うプロの事業者との夢の共有にこだわりつづ
けるマガジンでありたい。(中)

保険の業界も自由化の中で大きく変貌をとげようとしています。保険会社の合併
や買収、また、保険の流通も新しいチャネルの登場、異業種の参入など、これま
で保険流通の主要な担い手であった代理店・営業職員を取り巻く環境も変化し時
代に対応した生き方が求められてきています。本マガジンがこれからの代理店経
営の参考になるとともに新しい保険文化創造の一翼を担えれば幸いと思います。
(長)
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